
無性妖怪「コリュ」こと天海夜 煌琉(あまみや こうりゅう)だぞ。
前回は、高校物理で習う「熱機関」をモデルに
あなたの中にあるエネルギーを引き出し
より良いものを生み出すための「じぶん熱機関」
…という仕組みについて話した。
今回はその後半戦ということで
「あなたがストレスなく実現&継続するための考え方」
をテーマに話をしていきたいと思う。
さて、もう一度前回説明した「じぶん熱機関」の図を見てみよう。
これは、一つのことに偏ることなく、
真逆の性質のもの、様々なことを経験することで、
そのギャップからアイデアやエネルギーが生まれて、実現にもつながるよ!
…という話だったかと思う。
↑一例:「動」と「静」の性質をもつ経験の差から
エネルギーが生み出される
そして、前回は長くなるため説明を省いた、
この文章のタイトルである「やる気を78%引き出す」
今回は
「なぜ78%なのか?」
それを説明したいと思う。
78%…
これはすごく適当な数値であるが、きちんと意味があるのだ。
まず、結論から言えば、
「生きていく上で、何かを実現する上で、
あなたは100%を目指す必要なんて全く無いし、
そもそも無理な話なのである。」
ということだ。
ではなぜ、100%は無理なのか?
誰だって頑張れば100%の結果を出せるんじゃない?
そう思う方もいるかも知れない。
ここで、高校物理で習う
熱機関(カルノーサイクル)の話に戻ろう。
元々の熱機関では、
高温熱源Q1から低温熱源Q2まで、
熱量を何%仕事Wに変換できたか、
それを求めるための熱効率eを表す式がある。
熱効率eは
「熱機関が、高温の熱量Q1を、仕事Wに変えられた割合」
といった認識で良いかと思う。
得られた熱量Q1に対して、
逃げていく熱量Q2が小さくなればなるほど、熱効率が高くなるのだ。
その熱効率を表す式が以下の通りである。
e=1-Q2/Q1
ちなみに、このeというのは0より多い数字ではあるが、
1以上にはならない。
そのため、eは0<e<1となるのだ。
この熱効率eに100をかけたものが%になるので、
どの熱機関も、熱効率は常に100%より少ないということになるのだ。
よくわからない方は、「まぁこういうものなんだー」という程度で良い。
説明が長くなったが、
これはつまりどういうことかと言うと…
熱機関というのは、
100%を仕事に変えるのが不可能なのである。
これを僕が今回紹介した、
「じぶん熱機関の法則」に当てはめて考えてみよう。
あなたは何らかの経験を得た後、それをエネルギーに変えたとする。
一般的にエネルギーは、様々な意味があるだろうけど、
ここでは何らかのやる気が出たり、アイデアが思いたりして、
計画していることや頭の中にあるものを実現する力だと思ってほしい。
そのため、もし「じぶん熱機関」に熱効率eがあるとするならば、
「あなたが実現できる仕事の割合」
となるだろう。
ただ、この場合だと、さすがに公式を作ったところで意味がないので
感覚的な話になるのだが…
あなたという「じぶん熱機関」が
何かを実行したり生み出したりする上で
得られた知識や経験に対して、どれくらいの割合をエネルギーに変えられるのか?
それは…
「人によって違うけれど、絶対に100%なんてあり得ない」
ということである。
熱効率100%の熱機関があり得ないのと同じで、
100%の力をエネルギーに変えられる人間だってあり得ない。
実際にエネルギーというのは、
自分が思っているよりも89%くらいの人もいれば、
78%くらいの人もいるだろうし、
54%くらいの人もいるかもしれない。
むしろ30%に満たないけれど、
自分がストレスなく仕事ができるなら
少なくても良いと考える人もいるかもしれない。
というのも、
人はあらかじめ定めた目標通りにいかないこと、
予定していたとおりに行動できないこと、
理想通りの自分になれないこと、
そんなことは当たり前にあるのだ。
「絶対不可能」と決めつけるのも
いかがなものかと思うかもしれないが…
そもそも人間は完璧ではないのだ。
思っていたとおりに実行できないのが、むしろ当たり前なのである。
「本当はこうしたかったけど、これだけできれば今日は十分。」
それくらいのゆるさで
あなたが無理なく仕事ができるやり方を実現させていくことで、
身体的&肉体的な疲労やストレスが少なくなるだろう。
理想の自分は熱効率100%でサクサク仕事ができる。
でも実際の自分は熱効率78%くらいかもしれない。
あなたはそのように、
完璧にできない自分を責めてしまうことはないだろうか。
そうならないためには、
「出来ない自分、思い通りにいかない自分も受け入れて、
ありのままの自分を愛する」
という甘甘な自己肯定感
「これでいいやと思ったら、出来るだけ早く自分にGOサインを出す」
という緩々な実行力
そんな考え方を身につけることも大切だ。
完璧主義は身を滅ぼす。
仮にあなたという「じぶん熱機関」が24時間365日
ずっとずっと100%の仕事量で稼働していたら
一体どうなるだろうか。
きっと1日はおろか、1分…いや1秒でも休むことは許されないだろう。
1日も休まなかったらどうだろうか。
恐らく、
「じぶん熱機関」は故障してしまうことだろう。
それはつまり、
大抵の人は心や体を壊してしまうことになるだろう。
(当然といえば当然だが。)
しかし、今の日本では、
「長時間労働&長期間の連勤は当たり前」
「失敗しないのが当たり前」
「誰にも迷惑をかけないのが当たり前」
そんなよくわからない風潮が常識みたいになっているのが実情である。
そんな状況で、あなたという熱機関は
会社や上司にこき使われて、
誰にも嫌な思いをさせないよう、人に気を使いまくって、
失敗が許されないため必要以上の緊張感を抱いてしまって、
あなた自身が持っている貴重なエネルギーを
好きでもない仕事に浪費してしまっているのである。
しかも「完璧」つまり「100%」という、
本来のあなたができる仕事よりも、
無理な要求をされていることもあるだろう。
そんな状況で、あなた自身が本来持っている、
何物にも代えがたい価値…
それを生み出すことができるだろうか。
1年中ほぼ休まず稼働して…
失敗すらも許されない…
完璧であることが求められる…
そんな余白のない状況で仕事などをしたら、
あなたの心にも余裕がなくなり、
一体何のために生きているのかわからなくなるだろう。
そうならないためにも、
頭に入れておいてほしいことがある。
それは、
「私は常に100%の力を生み出すことなどできない。
もしそれが出来るなら、それは自分ではない別の何かだ。」
ということである。
熱機関だって100%はあり得ない。
「一部の熱が逃げる」という余白があるのだ。
上の図のように、
熱機関だって、高温熱源の一部の熱が、
低温熱源に逃げることができるのだ。
だから100%の仕事はできないわけだし、
それが当然なのだ。
あなたがもし、100%の仕事をしようならば、
完璧を求めるのであれば、
「逃げる」「休む」ことが許されない、
余白のない生き方となってしまうだろう。
それはつまり、
自分に優しい生き方ができなくなるということだ。
生き方だけじゃない。
完璧さを求めてしまうと、
それだけ実現させることが難しくなる。
理想と現実のギャップに悩んで、
やる気の低下に繋がり、
物事が続かなかったり、
夢を諦めてしまうことにもなるだろう。
そうならないように、
あなた自身の価値を最大限に活かすには
「どうせ完璧にできないから、やりたくでもできない」
などと言い訳して逃げられるような仕組みにはしないことだ。
「完璧じゃなくても、ちょっとでもやれた自分はすごい!!」
そんな自分を認めて、少しずつでもやりたいことを実現させていくことが、
一番自分に優しく、楽しい生き方となるだろうし、
あなた自身の価値も、最も効率良く世の中に提供できることだろう。
さて、ここまで前半戦と後半戦に分けて、
「じぶん熱機関」の法則について話したわけだが、
いかがだったろうか。
ぜひあなたも自分自身の振り幅を大きく、
様々な経験をしていき、
それらの経験のギャップから様々なアイデアを生み出し、
夢を実現させていってほしい。
そして、
その夢を実現する際にも、100%を目指さないことだ。
休んでも構わないし、逃げても構わない。
完璧じゃなくても、少しでも実現できれば良いわけだし、
予定より大幅に実現が遅れたって構わない。
自分自身ができるだけ楽に、楽しく夢を形にできればそれで良い。
「思ったより早く実現できたらラッキー!」くらいに思って、
失敗してしまったら引きずらずに、
また別の良い方法を考えれば良いのだ。
そんな感じで人生にも考え方にもスケジュールにも余白を持って、
78%くらいの力で、課題に取り組んでいきましょう。
あなたがそんな自分になるために、
「じぶん熱機関の法則」が役に立つと嬉しい。